実家を相続したけど住む予定がない…放置する前に知っておきたい3つのリスク
「親が亡くなって実家を相続したけれど、自分はすでに別の場所に住んでいる。いつか何とかしようと思いつつ、もう何年もそのまま…」
こんな状況に心当たりのある方は、少なくありません。総務省が2024年に公表した「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました(出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」)。福岡県でも約33万5,300戸が空き家となっており、空き家率は12.40%に達しています。
「とりあえず置いておけばいい」と思いがちですが、空き家の放置には思った以上に大きなリスクが潜んでいます。この記事では、空き家を放置した場合に起こりうる3つのリスクを分かりやすくご紹介します。
リスク1:固定資産税が最大約4.2倍に跳ね上がる可能性がある
家が建っている土地には「住宅用地特例」という税金の優遇制度が適用されています。この特例のおかげで、200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)は固定資産税の課税標準額が6分の1に、200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)は3分の1に軽減されています(出典:地方税法第349条の3の2)。
ところが、2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法により、新たに「管理不全空き家」という区分が設けられました(出典:空家等対策の推進に関する特別措置法、2023年12月13日施行)。これは、放置すれば将来「特定空き家」になるおそれがある空き家のことです。
管理不全空き家に指定され、市町村から勧告を受けると、住宅用地特例が解除されます。つまり、これまで6分の1に抑えられていた固定資産税が、最大で約4.2倍(理論上は6倍)に増えてしまうのです。
たとえば、これまで年間3万円だった固定資産税が、12万円以上になる可能性があるということです。「住んでいないから税金も安いだろう」という思い込みは危険です。
リスク2:建物の老朽化による近隣トラブルと損害賠償責任
空き家を放置していると、建物はどんどん傷んでいきます。屋根瓦が落ちる、外壁が崩れる、庭木が隣家に越境する——こうした状態が近隣住民に被害を与えた場合、所有者が損害賠償責任を負うことになります(出典:民法第717条「土工作物等の占有者及び所有者の責任」)。
実際に起きている問題としては、以下のようなものがあります。
- 台風・強風時の瓦やトタンの飛散による隣家の損壊
- 害虫・害獣の発生(シロアリ、ハチ、ネズミ、イタチなど)による周辺住民の被害
- 不法投棄や不審者の侵入による地域の治安悪化
- 雑草の繁茂による景観の悪化と火災リスクの上昇
「遠方に住んでいるから管理できない」は理由になりません。空き家の所有者には管理責任があり、何か事故が起きれば責任を問われる立場にあることを忘れないでください。
リスク3:行政代執行で解体費用を請求される
空き家の状態がさらに悪化し「特定空き家」に指定されると、行政からの対応はより厳しくなります。特定空き家への行政の対応は段階的に進みます。
- 助言・指導:まずは改善を求める連絡が届きます
- 勧告:改善されない場合、正式な勧告が出されます(この時点で住宅用地特例も解除)
- 命令:勧告にも従わない場合、命令が出されます(違反すると50万円以下の過料)
- 行政代執行:最終手段として、行政が所有者に代わって建物を解体し、その費用を所有者に請求します
行政代執行の費用は決して安くありません。千葉県柏市では、鉄骨造3階建ての建物に対して行政代執行が行われ、約1,040万円が所有者に請求された事例もあります(出典:千葉県柏市の行政代執行事例)。
自分で解体業者を選んで工事を進めれば、もっと費用を抑えられたはずです。行政代執行は「最悪のシナリオ」ですが、放置し続ければ現実になりうるのです。
「いつかやろう」では手遅れになることも
空き家の問題は、先延ばしにすればするほど状況が悪化し、選択肢が狭まっていきます。建物が傷めば解体費用は増え、近隣トラブルが起きれば売却も難しくなります。
逆に言えば、早めに動けば選択肢は多く残っています。売却する、賃貸に出す、解体して土地を活用する、あるいは適切に管理して維持する——どの道を選ぶにしても、まずは現状を把握することが第一歩です。
まとめ
空き家を放置する3つのリスクを整理すると、以下のとおりです。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 固定資産税の増額 | 管理不全空き家の勧告で住宅用地特例が解除、税額が最大約4.2倍に |
| 近隣トラブルと賠償責任 | 建物の劣化や害虫発生で周辺に被害、所有者が責任を負う |
| 行政代執行 | 特定空き家に指定されると最終的に行政が解体、費用は所有者負担 |
「うちの空き家はどうすればいいんだろう?」と少しでも気になった方は、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。株式会社玄風では、空き家の状態や立地条件を踏まえた最適な活用方法のご提案から、解体工事の対応、法律面のサポート(顧問弁護士と連携)まで、ワンストップでお手伝いしています。お気軽にお問い合わせください。