空き家問題は地域の問題 ── 田川・筑豊エリアで空き家対策に取り組むということ

これまで19回にわたって、空き家の管理方法、税金の問題、活用法、法律の知識など、さまざまな角度から空き家について解説してきました。

シリーズ第20回となる今回は、少し視野を広げて、空き家問題を「地域の課題」として捉え直してみたいと思います。私たち株式会社玄風が拠点を置く田川市・筑豊エリアは、全国でも空き家率が高い地域です。なぜこのエリアに空き家が多いのか、それが地域にどのような影響を与えているのか、そして私たちに何ができるのかを考えます。


田川・筑豊エリアで空き家が増え続ける背景

人口減少と高齢化

田川市を含む筑豊地域は、かつて炭鉱産業で栄えた地域です。しかし、1960年代のエネルギー革命以降、炭鉱の閉山とともに人口が減少し続けています。

田川市の人口は、ピーク時(1950年代)の約10万人から、現在は約4万5千人にまで減少しました(出典:田川市統計資料)。高齢化率も全国平均を上回っており、一人暮らしの高齢者が施設に入所したり亡くなった後、空き家が発生するケースが後を絶ちません。

若い世代の流出

進学や就職を機に、若い世代が福岡市や北九州市、あるいは県外へ転出していきます。実家を離れた子ども世代が親の家を相続しても、すでに別の場所に生活基盤があるため、戻ってくることは稀です。

結果として、「遠方にある実家の空き家をどうすればいいかわからない」という相談が非常に多くなっています。

住宅の供給過多

人口が減少しているにもかかわらず、新築住宅は建ち続けています。国土交通省の「建築着工統計調査」によると、全国で毎年約80万戸の新築住宅が着工されています(出典:国土交通省「建築着工統計調査」)。既存の住宅が余り、新しい住宅が供給されるという構造的なミスマッチが、空き家の増加に拍車をかけています。


空き家が地域に与える影響

空き家は、個人の所有物であると同時に、地域全体に影響を与える存在です。

1. 景観の悪化

管理されていない空き家は、雑草の繁茂、外壁の剥落、屋根の損傷などにより、周囲の景観を著しく損ないます。1軒の空き家が荒れると、通り全体の印象が変わり、「この地域は衰退している」という印象を与えます。

2. 治安の悪化

空き家は不法侵入、不法投棄、放火のリスクを高めます。消防庁の統計によると、出火原因の上位に「放火」と「放火の疑い」が常にランクインしています(出典:総務省消防庁「消防白書」)。管理されていない空き家は、放火犯にとって格好のターゲットです。

また、空き家が犯罪の拠点として利用されるケースも報告されています。

3. 地価の下落

空き家が増加すると、その地域の不動産としての魅力が低下し、地価が下がります。地価が下がると、所有者が売却しても十分な金額を得られず、ますます放置される――という悪循環に陥ります。

総務省の「住宅・土地統計調査(2023年)」によると、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%です。田川市の空き家率は20.98%、飯塚市は18.21%、行橋市は13.65%、苅田町は12.97%と、筑豊・京築エリアの多くが全国平均を上回っています。

4. インフラ維持コストの増大

空き家が点在する地域では、道路・上下水道・電気などのインフラを、少ない住民で維持しなければなりません。人口が減っても、インフラの維持管理費は大きくは減らないため、一人あたりの負担が増加します。


行政の取り組み

空家等対策特別措置法

2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以降、空き家特措法)は、空き家問題に対する国の法的な枠組みです。2023年12月には改正法が施行され、「管理不全空き家」の区分が新設されました。

この法律に基づき、各自治体は「空家等対策計画」を策定し、以下のような取り組みを行っています。

  • 空き家の実態調査
  • 所有者への助言・指導・勧告・命令
  • 特定空き家の認定と行政代執行
  • 空き家バンクの運営
  • 解体費用の補助制度

田川市の取り組み

田川市では、空き家率が20%を超える深刻な状況を受けて、空家等対策計画を策定し、空き家の実態把握や所有者への働きかけを進めています。空き家バンクの運営や、老朽危険空き家の解体費用に対する補助制度なども実施しています。

広域的な連携

筑豊地域では、田川市・飯塚市をはじめとする自治体が連携して空き家対策に取り組んでいます。福岡県も「福岡県空き家活用サポートセンター」を通じて、県全体での相談対応やマッチング支援を行っています(出典:福岡県宅地建物取引業協会)。


民間の役割 ── 不動産会社・士業にできること

行政の取り組みだけでは、増え続ける空き家のすべてに対処することは困難です。空き家問題の解決には、民間事業者の積極的な関与が不可欠です。

不動産会社の役割

不動産会社は、空き家の売買・賃貸・管理において中心的な役割を担います。特に地方の不動産会社は、地域の事情に精通しており、以下のような対応が可能です。

  • 物件の査定と適正価格の提案
  • 買い手・借り手とのマッチング
  • 空き家管理サービスの提供
  • 解体工事の手配・実施
  • 空き家バンクへの登録支援

士業(弁護士・司法書士・税理士等)との連携

空き家問題は、不動産の問題であると同時に、相続・登記・税金・隣地トラブルなど、法律や制度に深く関わる問題です。

  • 弁護士:相続争い、隣地トラブル、境界問題
  • 司法書士:相続登記、所有権移転登記
  • 税理士:譲渡所得税、相続税、固定資産税
  • 土地家屋調査士:境界確定、建物表題登記

これらの専門家とワンチームで対応することで、所有者の負担を大幅に軽減できます。


玄風の取り組みとビジョン

株式会社玄風は、福岡県田川市に拠点を置く不動産会社として、空き家問題に正面から取り組んでいます。

解体から売却までのワンストップ対応

当社は解体工事業の許可を保有しています。建物の状態調査から、解体工事の実施、更地の売却まで、一社で完結するため、所有者の方が複数の業者を探し回る必要がありません。

顧問弁護士との連携

相続問題や隣地トラブルなど、法律が絡む案件については、顧問弁護士と連携して対応しています。不動産と法律の両面からアドバイスを受けられる体制を整えています。

地域に根ざした活動

私たちが目指しているのは、単に不動産を売買することではありません。空き家を一軒でも減らし、地域の景観や安全を守り、田川・筑豊エリアの魅力を次の世代に引き継いでいくこと。それが、この地域で不動産業を営む私たちの使命だと考えています。

空き家は「誰かの問題」ではなく、「地域全体の問題」です。所有者、行政、不動産会社、士業、そして地域住民が連携して取り組むことで、初めて解決への道筋が見えてきます。


おわりに ── 空き家活用ガイド第1〜20回を振り返って

本シリーズでは、空き家の放置リスク(第1回)に始まり、税金の問題、相続の問題、活用法の選択肢、そして地域の課題(本回)まで、幅広いテーマを取り上げてきました。

空き家問題に「一つの正解」はありません。物件の状態、立地、所有者の状況、相続人の関係性によって、最適な選択肢は異なります。

大切なのは、「何もしない」を選ばないことです。

情報を集め、専門家に相談し、早めに行動する。それが、ご自身の資産を守り、地域の未来を守ることにつながります。


空き家についてのお悩み、まずはお気軽にお話をお聞かせください。株式会社玄風は、田川・筑豊エリアの空き家問題に、不動産のプロとして真摯に取り組んでまいります。

株式会社玄風(福岡県田川市)

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