相続した実家、どうする?「住む・売る・貸す・解体」4つの選択肢
親御さんが亡くなり、実家を相続したものの「どうすればいいか分からない」──これは、私たち玄風に寄せられるご相談の中で最も多いテーマの一つです。
すでに自分の家がある方にとって、実家は「住む予定のない不動産」になりがちです。しかし、何もせずに放置すると、固定資産税や維持費がかかり続けるだけでなく、法律上のペナルティを受ける可能性もあります。
この記事では、相続した実家の4つの選択肢を、メリット・デメリットとともに整理します。
選択肢1:住む
実家に住み替えるという選択肢です。
メリット
- 住居費(家賃やローン返済)がなくなる、または大幅に減る
- 思い出のある家を残せる
- 小規模宅地等の特例(80%減額)の適用要件を満たしやすい
デメリット
- 通勤・通学の利便性が変わる
- 築年数が古い場合、リフォーム費用がかかる
- 現在の自宅をどうするかという問題が生じる
実家が職場に近い、あるいはリモートワーク中心の方には現実的な選択肢です。ただし、築30年以上の住宅では耐震性や設備の老朽化が問題になることが多く、リフォーム費用の見積りを事前に取っておくことをおすすめします。
選択肢2:売る
相続した実家を売却し、現金化する方法です。
メリット
- まとまった現金が手に入り、相続人間で公平に分けやすい
- 固定資産税や維持管理の負担がなくなる
- 一定の要件を満たせば、3,000万円の特別控除が使える(本シリーズ第7回で詳しく解説)
デメリット
- 思い出のある家を手放すことになる
- 売却までに時間がかかることがある(地方では買い手が見つかりにくい場合も)
- 譲渡所得税がかかる場合がある
売却は最も多くの方が選ばれる方法です。特に、相続人が複数いて公平に分割したい場合は、不動産を現金化する換価分割が合理的です。
売却を検討する場合は、まず不動産会社に査定を依頼し、どの程度の金額で売れるかを把握しましょう。
選択肢3:貸す
実家を賃貸物件として活用する方法です。
メリット
- 毎月の家賃収入が得られる
- 建物が人に使われることで劣化が緩やかになる
- 将来、自分が住む可能性を残せる
デメリット
- 入居者の募集やトラブル対応など、大家としての手間がかかる
- 築古物件はリフォームしないと借り手がつかないことがある
- 空室リスクがある
戸建て賃貸は供給が少ないため、立地や状態が良ければ意外と需要があります。ただし、管理の手間を考えると、管理会社に委託するのが現実的です。その分、家賃収入から管理費が差し引かれる点は理解しておきましょう。
選択肢4:解体する
建物を解体し、更地にする方法です。
メリット
- 老朽化した建物の倒壊リスクや、近隣からの苦情をなくせる
- 更地にしたほうが売りやすい場合がある
- 管理の手間が大幅に減る
デメリット
- 解体費用がかかる(木造で100〜200万円程度が目安)
- 更地にすると固定資産税の「住宅用地の特例」がなくなり、土地の固定資産税が最大6倍になる
- 建物がなくなるため、賃貸活用の選択肢がなくなる
解体する場合に注意が必要なのは、固定資産税の問題です。建物が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大6分の1に軽減されています。建物を壊すとこの特例がなくなるため、更地のまま放置すると税負担が跳ね上がります。
解体後は速やかに売却するか、駐車場などの活用を検討しましょう。
放置は最悪の選択肢
「とりあえず何もしない」は、実は最もリスクの高い選択肢です。
空き家法改正で固定資産税が最大6倍に
2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法により、「管理不全空家」に指定された場合、市区町村から改善の勧告を受けることがあります。勧告を受けると、住宅用地の特例が解除され、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
以前は「特定空家」(倒壊の危険があるレベル)にならなければペナルティはありませんでしたが、改正により「管理不全空家」(放置すれば特定空家になりそうなレベル)の段階で勧告の対象になりました。
その他のリスク
- 建物の劣化が進み、修繕費が膨らむ
- 不法侵入や放火のリスク
- 雑草や害虫で近隣に迷惑をかける
- 相続登記をしないと過料の対象になる(本シリーズ第1回参照)
どの選択肢が最適か、判断するポイント
| 判断基準 | おすすめの選択肢 |
|---|---|
| 実家の近くに通勤先がある | 住む |
| 相続人が複数いて公平に分けたい | 売る |
| 立地が良く、建物の状態も悪くない | 貸す |
| 老朽化がひどく、買い手もつきにくい | 解体して売る |
最適な選択肢は、不動産の立地・状態・相続人の状況によって異なります。一つの選択肢に絞り込む前に、複数の可能性を比較検討されることをおすすめします。
まとめ
- 相続した実家の選択肢は「住む・売る・貸す・解体」の4つ
- 放置は固定資産税の増額や倒壊リスクなど、最もデメリットが大きい
- 空き家法改正により「管理不全空家」の段階でペナルティの対象に
- ご自身の状況に合わせて、早めに方針を決めることが大切
出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000135.html)
玄風は不動産の売買・賃貸に加え、解体工事業の許可も保有しております。相続した実家の「住む・売る・貸す・解体」どの選択肢についてもご相談いただけます。まずはお気軽にお声がけください。